現実とのクールな戦い ~ 映画『オデッセイ』 ~
今日は、映画『オデッセイ』から。
最近劇場公開のマット・デイモン主演映画。
火星に独り置き去りになった宇宙飛行士の地球帰還までの物語。
〇「微妙だな。順調なら問題ないが。」
劇中、救出作戦の状況検討会の席で、報告を聞いたNASA高官の言葉。
「順調に事が進む」ということは誰もが強く求める。しかし、その気持ちが強す
ぎて、事はいつも順調にいくべきだ、いや、いつもいくはずだ、という思い込みに
なってしまっては現実を見誤り、方策を間違える。
考えてみれば、順調さは、我々の期待と現実の動きが合っている場合に生まれ
ると言える。現実のルールにあわせた具体的働きかけがなければ「順調」はない。
つまり、決して自然状態で「順調」は生じない。むしろ、何もしなければ「順調」
でない状態が生じると考える方が自然。
どんなに強い期待でもそれはあくまでも期待に過ぎない。現実は独自のルールに
よって冷徹に動く。
人の勝手な思いだけを膨らませても、現実のルールの中で具体的に必要な作用を
与えなければ現実は期待通りに動かない。思い込みを離れて、そのルールをどれだ
け本質的に捉えて備えることができるかが、「順調」を左右する。
何気ない言葉で、長々と語ってしまった。以下は簡単に。
〇「諦めてはいないが、あらゆる結果に備えたい。」
万一に備えて家族あてにメッセージを書く主人公に対して仲間が「諦めないで」
と励ました時に、主人公が答えた言葉。
悲観でもなく、楽観でもない心の持ち方。
〇「さあ、解決するわよ!」
救出作業を進める中で問題が生じた時に、女性艦長が部下にかけた言葉。
解決作業というものがあるのだと思った。
問題が生じたことは、「だから諦める」というサインではない。
解決作業開始の合図だ。
〇「答える前に、結果を考えて!」
これも船長の言葉。方針を決めるためにメンバーに意見をもとめた時のセリフ。
結果を考えずに、思いだけで意見をいってしまうおっちょこちょいな性質も
我々の頭にはある。
こういう艦長の指揮になら喜んで従いたい、という気になってくる。