トントさんと言葉のデッサン

人生で出会ういろいろな事を日常の言葉で描きたいと思っているブログです。

面倒くさがりの料理法

料理とは、

書店にある料理本に掲載されたレシピを見ながら、その通りに何かを作る事だ」・・・と、思っていた。

書店にある本といったのは、きっと今まで誰かにキチンと料理を教えてもらった経験がなかったからだ。要するに、今まで、キチンと料理を作ることに向き合ったことはなかった。

唯一、経験があるとすれば、幼いころ、家の外の路地にちゃぶ台をだしてそこで何か(何かは忘れたが)を作って兄弟で食べた思い出と、学生時代にワンダーフォーゲル部での山行パーティのエッセン(食事担当)になって、即席の大根おろしを作って食べた経験があるくらい。

その後、長い勤めの期間を過ぎて、少し時間ができてあらためて少し自己流で食の実戦をしはじめた今の私は、とりあえず「料理とは、素材を美味しく食べる技術」、と思っている。

ここで重要なのは、「メニューを決める」ことではなく、「目の前の素材をどう味付けするか」を決めること。

街で売ってるメニューを自宅で作ることが料理と考えない。

メニューを考えるのでなく、まず素材を考えること。

素材は、栄養的な面から、炭水化物系、たんぱく質系、野菜・海藻系の三つくらいを買い足しておく。街中で売っている食べものは、どうも炭水化物系が多い。炭水化物系は常習傾向もあるというからみんなけっこう好きだ。炭水化物系は、ほおっておいても周りに寄って来る。だから、他の素材を意識して買うようにした方がいいかもしれないと思っている。(人間は身体でできている。身体を維持するのは、メニューではなく素材なのだから、栄養素を重視して素材を常にいろいろバランスよくそろえておくのは、身体へのエチケットみたいなものだと思う。)

メニューを考えて素材を揃えるのではなく、素材を栄養面でそろえて、後でその食べ方を考える。そして、素材はなんでもバランスにだけ注意してあるものを買う。こう考えれば素材面でも頭を使わなくて済む。

面倒くさがりで、自分で試す方が性に合っている私には、メニューから考えるより素材から入った方がとっつきやすいようだ。何より、素材さえあれば、いざとなれば、それを生でかじればいい。身体栄養的には、動物もやっていることでとりあえず生命維持には充分だ。それに、料理することで、冷蔵庫の中のものがだんだん片付いていくのもなぜか気持ちいい。

やってみて、気が付いたのは、素材は生でもおいしいし、ちょっとした味付けでもおいしいということ。これは意外だった。料理本では、聞いたこともない香辛料など書いてあり、そういうものを使わないと本当のおいしさは得られないように思っていたが、そんなことはない。塩ひと振りと素材の味がミックスして思いもかけなかった味が楽しめる。ちなみに、私は、まだ、香辛料などの量を細かくコントロールできるまでの熟達の境地にはいっていない。まだつい多くなってしまうが、ほんの少しでも美味になるらしい。今後さらに試してみよう。

更なる極意もあるらしい。包丁でいかに切るかが重要。切り方で味が変わるとも。

これも、そこまでの境地にまだいっていないが、確かに、料理の手順を考えると、文字通り手がかかるのは、素材を切る部分。簡単に言えば、素材を切ってしまえば、後は、煮たり焼いたりと、鍋やフライパンと火がやってくれる。つまり、切ってしまえば料理は終わり。

その他、旬の食材がいい、ということもある。これも、実戦で感得できるまでにはいっていない。これからの楽しみだ。

「メニューを考えて素材を考えて買い物で探す」面倒を避けて、素材はあるものを考えずにそろえてその「食べ方」を考える。難しい料理手順を考えるのでなく、やることは「要は切るだけ」と考える。

自分で試してみたいが、面倒なのはだめ。これが自分ではしばらく変えたくない私の性質。ここまで書いてきて、自分の求めている方向がわかってきた。

しかし、面倒くさがりが動機の料理の考え方であっても、生から食べるところから始めると、かえって、味付けの大切さがわかってくる効用もある。味付けだけでなく、切り方、熱の与え方、他の食材とのあわせ方、などなど無限のバリエーションで味が変わって来る。そして、それを楽しめるなんて、料理を難しく考えて専門家に任せてしまうのはもったいない。

何でもそうかもしれないが、必要なのは、まず自分の中の思い込みを片付けて、自分と現実に合った考え(OS)に作り直すこと。経験の中で自分なりの方法を考えていく。今、料理を通してそんな経験をしている。

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でも、待てよ。こんな考えができるのも、素材の名前を入れれば、簡単な料理法を教えてくれる料理サイトがあるから?

それに、こんなことを言っていても、かみさんがいる時は、さっぱり料理しないのも、やはり面倒くさがりの性?