トントさんと言葉のデッサン

人生で出会ういろいろな事を日常の言葉で描きたいと思っているブログです。

67歳の私が、若いころの自分に送る仕事選びのアドバイス

仕事選びの条件

 ① その仕事をすることが社会のためになり、みんなに喜んでもらえる。

 ② その仕事が少なくとも自分及び自分の家族の生活に必要な収入を見込める。

   別の自分の楽しみにもつぎ込めるだけの収入を見込めればなおよい。   

 ③ その仕事をすることが少なくとも嫌いでない。

   もちろん、好きでたまらないことであればなおよい。

 ④ その仕事は一定の専門知識・資格と修練・経験を要するものである。

 ⑤ その他

   世界のどこでも需要がある。

   年齢がいくつになってもできる。

   多くの人に必要とされる。

自分中心の条件が入っていない理由

 この中に、自己実現や自分の成長、自分(興味、性格、才能など)にあっているか、自分は何がやりたいのか、自分には何が向いているのか、という条件は入っていない。

 これには理由がある。これらの条件がすべて「自分」中心の条件であるため、「自分探し」から始めないと進めない考え方だからだ。しかし、自分がどんな人間で、どんな仕事が自分にあっているかは簡単にはわからない。

 自分探しを最初の条件にしてしてしまうと、入り口のハードルを高くなってしまい、結局、入り口で悩んでなかなか実践までいけない。「自分探し」にはいろいろ試してみることが必要なのに、そして、実際に行動を始めてみれば「自分探し」以外にもいろいろの課題が浮上してきてそれを解決しなければいくらその仕事が自分にあっていても成功しないというのに、いつまでも入り口の前でうろうろして貴重な時間を浪費する結果になってしまいかねないからだ。

 だから、自分の要素は、できるだけ少なくしてある。自分が好きなことをもちろん排除しないが、それに固執して入り口のハードルを高くしてしまうことは避けたい。自分の好きなことは、収入が生計を維持できる以上になってから、お金をそちらに回して楽しむ方向にシフトしていけばいい。ともかく生計を立てることを優先する、という考え方だ。それまでは、嫌いじゃない、生計を維持するという最低限を確保するわけだ。

 「 自分」中心の条件を前に出していないもう一つの理由がある。

 「自分のため」という条件は、動機として強く自分を動かすものではないのだ。動機として一番強いのは「他の人が喜ぶ顔を見たい」「他の人の役に立っている」など他の人中心の条件だ。

 プロの仕事を続けるには、ある種の「きつさ」に耐えることや外に向かって自分をさらけ出す勇気などが求められる。「自分の成長」というだけではその「きつさ」や一歩の踏み出しの時の圧に耐えられない。そんなにきつければ、自分の望みを下げてしまおう、とばかり自分の世界の中だけで適当に調整できてしまうからだ。

 また、「自分の成長のため」という自己中心的な理由では、他の人に対してもなぜそんなことをするのかと言われたときの強い理由にならない。だから、自分で調整できないもの、他の人に由来する何かを基準にすることが必要なのだ。

 さらに、本気で、相手へのサービスを考えれば、相手が何を求めているかわかる。対価は相手が持っている。サービスが良ければ、対価は自然とやってくる。ところが、先に自分の事に意識を持っていくと、他の人のニーズを忘れる。自分中心の条件を後回しにして他の人の事を考えることで、この愚を避けることができる

 もう一つある。

 自己の成長や自己完成という自分に関する条件は、知識のインプット段階では効果のある動機だが、アウトプット行動をするには十分でないということだ。

 やっかいなことに、インプットにこれで完成と思える段階はやってこない。インプットの完成にこだわりすぎると、いつまでたってもインプット状態を続けてしまう。アウトプット段階に移れない。自分はまだその段階ではない、という思いがアウトプットへの飛躍を邪魔してしまう。行動への飛躍は、インプットが充分でないと思う段階で行うしかない。

 インプットに役に立つ自己中心のイメージにこだわることは、アウトプットへの飛躍の障壁になる。だから、それを突破するためには、他人中心の条件を重視する必要があるのだ。

 何かモノやサービスを生み出す、外に出てそれを他の人に届ける、そういうアウトプット段階がなければ対価は一銭たりともやってこない。自己中心のインプットにこだわることは相手に対価を与えるだけに終わる

 これら三つも、自分中心の条件を避けた理由だ。

実際上の条件

 最後に実際上の重要な条件④がある。

 身につけるべき専門知識・資格と修練・経験の質と量は、得られる収入の多さや仕事の安定性と比例している。どんな専門技能を選ぶかは個人の考えと判断だ。しかし、どんな専門技能を選ぶかでどれだけの収入が見込めるか、どれだけ安定した収入が得られるかが決まってくる

 ④に関してもう一つ、注意しておきたいことがある。専門技能を身につける期間が長くかかるということ、つまり知識を得、修養を積む一定の期間が必要ということだ。その期間は収入がないということでもある。学校にいく資金もまとまった額が必要だ。試験もあるかもしれない。将来への計画と準備期間が必要ということだ。しかし、それをクリアーすれば、苦労した以上の果実を得ることができる。

 

 以上が、昔の私に今の私が教えてあげたい、何を考えるべきかの指針だ。

 この先、具体的に何をどうするか、どう内容を作るかは、相変わらず、現実の行動の中で埋めていくしかない。

 私の年齢ではあまり時間はないけれど。